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灰都とおり「迷宮妄想のアーキテクチャ」

灰都とおり「迷宮妄想のアーキテクチャ」

◆作品紹介

日々無数に出力される創作物を虚心に眺めるなら、我々の集合的無意識に異世界や迷宮、悪役令嬢などが潜在していることはもはや疑いようがないだろう。十階層に及ぶ地下迷宮ダンジョンに主観が迷い込んでしまうというある種の誇大妄想が、多くの人々の間に広がった世界。人々は断片的な体験を紡ぎ合わせて、迷宮の構造を探索し始める。それはやがて、世界そのものの成り立ちを巡る胡乱で矛盾を孕んだ論争へと繋がっていく――史上最も有名な迷宮といえばミノタウロスが潜むクレタ島のラビリントスだろうが、クレタ島からはこの巨大迷宮の存在を示唆するような遺構は発見されていない。一説によるとこれは、無数の人々が行き交う当時のクレタ島に発展していた大都市自体が、ある種の解釈不能で怪物的な存在として映ったのだと理解されている。現実を迷宮と呼ぶ者があり、迷宮を現実と呼ぶ者がある。そしてそのいずれをも等しく、怪物は喰い散らかして回る。(編・青山新)

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