◆作品紹介
同一性の根拠は様式に委ねられる。作中で語られるとおり、運用こそが本質なのであり、本質的な本質などは、どこを切っても内在していない。声は語りに伸縮性を許容し、テキストはそれに追従する。ゆえにテキストは、テキストのままに自らが自由になりうることを知る。「パネンカ」というタイトルが象徴するように、歴史とはサッカーであり、紙幣であり、名前であり、運用を待つすべての可能性の光を前に、ただカオティックに乱反射する、得体の知れない謎である。
なお、本誌掲載作「とにかく大きい洪庵先生」に続く改変歴史連作である。
(編・樋口恭介)