◆作品紹介
友人の松野から「揉めてるおばさんを見に行かないか?」という誘いを受けた「私」は、自転車で田園地帯へ向かう。そこで二人の女性が対峙している光景に出会う。黄色いワンピースを着た一人と、極めて匿名的な存在感のもう一人である。二人は何かを巡って言い争い、やがて激しい衝突へと発展する。主人公と松野は静寂な夜の田園で、その様子を見守る。現実と幻想の境界が曖昧になり、背の高いひまわりや全身を白く塗った謎めいた人物を象徴としながら、暴力の初期衝動と爽やかな情景が交錯していく奇妙な青春譚である。(編・樋口恭介)