◆作品紹介
嘘をつくロボットと嘘を見抜くロボットが命を賭したゲームに駆り出される。彼らはプレイヤーとして競い合うことを求められるが、むろんプレイヤーには競い合わない自由もある。「暴走トロッコの先にいる五人を救うために一人を殺してもよいか」といった問いや、「食べるならウンコ味のカレーがよいかカレー味のウンコがよいか」といった問いが巷には溢れているが、それらはそもそも誤った二分法なのであり、そうした問いに答える必要などはどこにもない。私たちにはつねに、第三の選択肢もあれば第四の選択肢もあり、それらのあいだにもまた無限の分岐が横たわっている。舞台から降りること、問いを相対化すること、前提を無効化すること。ゲームが始まり、競争に巻き込まれてなお競争を拒否することは可能である。これはそういう作品である。(編・樋口恭介)