◆作品紹介
国家は面倒くさい。恋も図書館も宇宙も絡んでくると、なおさらだ。これは、福沢諭吉が語るもうひとつの近代史――だが、そこに現れるのは巨大な頭部の哲学者、死者全員を復活させようとするロシアの妄想、そして「耳をすませば」への妙な自負。史実と虚構がスタイリッシュに交差し、読者を国家の枠を超えた“トスカ”へと引きずり込む。笑っていいのか、あるいは震えるべきか。答えはたぶん、その両方だ。これは帰るべき場所を持たないすべての人――つまり文字どおり"すべての人"へのカントリー・ロードである。
なお、本誌掲載作「とにかく大きい洪庵先生」「パネンカ」に続く改変歴史連作である。
(編・樋口恭介)