◆作品紹介
白昼、戸を叩くものがある。君たちである。
言葉が現実を変えることはもはやよく知られた事実であるが、では言葉はどこからやってくるのか。現実か空想か、どこか得体の知れないところから湧き出た言葉たちによって、世界は規定され、解剖され、再創造され続ける。非整数次元に棲む色の無い線虫、各ラグランジュ・ポイントに分割して安置された聖遺物、星のない夜にだけ更新されるTikTokアカウント――これらはいずれも私が今考えたものたちだが、言語の上では自在に存在を許されている。つまり、太古の昔から存在し、文明の終わりまで存在しうる。書き散らし、書き過ぎて、ふと我に帰った時にはもう、手の届かない場所へと離れている。そういったものたちだけがフィクションの大気圏を突き破り、まばゆく燃え、時として私たちの元へと届くのだ。そこから先のことはもはや私も、作者も、預かり知らぬところである――まぁ、そんなことはともかくとして、大いに笑いながら肝を冷やしていただきたい傑作である。(編・青山新)